神式を選択すると、葬儀費用が安く済みますよ!という、謳い文句をよく聞きます。
実際のところってどうなの?って考えると、「う〜〜〜ん…」って感じです。
なので今回は、どの辺が「う〜〜〜ん…」なのかを解説していきます。
神式と仏式の違い
まずはここから確認してみましょう。
名前
仏式 … 葬式、葬儀
神式 … 神葬祭
神道の儀式はだいたい祭です。特に神道では、人は死後、守護神になるので、それを祭る儀式と考えられます。
行う場所
仏式 … 自宅、葬祭ホール、お寺など
神式 … 自宅、葬祭ホールなど
葬儀を神社で行うことは基本的にありません。神道では、死は「穢れ(けがれ)」と考えるので、遺体を神社に入れることができません。
この辺が、“前述の守護神になる”部分と食い違いが出そうな部分ですが、今回はスルーします。いつか書くかもしれません。
葬儀の流れ
仏式 … 通夜 → 葬儀 → 埋葬
神式 … 通夜祭 → 神葬祭 → 埋葬の儀
細かい儀式がそれぞれありますが、だいたい流れは同じです。細かいところを突き詰めると、神式の方が儀式は多くなります。
使用するもの
仏式 … 棺、仏衣、焼香、祭壇、花 など
神式 … 棺、神衣、玉串、祭壇、花 など
これも宗教が違うので、形は異なりますがあまり変わりません。
お墓
仏式 … 墓地、暮石(、墓標)
神式 … 墓地、暮石(、墓標)
これも形が違うだけで同じです。どちらも同程度の値段です。
その他
仏式 … 位牌、戒名、お布施、法要
神式 … 霊璽、霊号、玉串料、霊祭
よく話題になるのが、ここの「戒名」と「お布施」です。
たしかに神式では、「戒名」は無く、相当するものに「霊号」がありますが、それは納める金額で決まるものではなく、享年で自動的に決まるので、特にお金はかかりません。
また、「お布施が無い」もよく言われますが、それに相当する「玉串料」というものを納めるので、“無い”わけではありません。葬祭一式を執り行っていただいて、お金も払わずに「ありがとうございました」とは、常識が許さないと思います。
ただし、一般的なお布施よりは安くすむ場合が多いです。
つまり…
見た目的には「戒名」と「お布施」の分安くなります。
しかし実際に執り行うと大して料金は変わりません。
なぜでしょうか?
市場が発展していない
安くなる項目が明確にあるのに安くならないのは、その他の項目が割高になるケースが多いからです。
理由としては、購入者・利用者が少ないため、市場の競争意識が低いためです。
大手メーカーのホームページを確認しても、ほとんど仏式の用品・備品しか掲載されていません。
競争がなければ、良品も揃え辛いですし、価格の適正化も図られません。
用品・備品以外でも、仏式だと格安プランなどのお得なサービスが用意されているのに対して、神式ではなかなかそういったものは見つかりません。
仏式のプランをもとにオプションで神式に変更するなんてケースも多く、進行のための費用が高くなりがちです。
全体で見れば費用は変わらない
「用品・備品」「進行費用」それぞれの割高感が全体の費用を押し上げているので、「神式の方が安い」ということに賛同できなくなっています。
“安く済ませたい”“安くしなければならない”場合には、別の方法を考えた方が良いと思います。次回はそのあたりを調べて解説します。