“離檀”とは、お寺との檀家関係を解消することです。

お寺にお墓を持っている場合は、改葬(お墓の引越し)も必要になります。

では、実際にはどのような手続きと流れで離壇を行うのでしょうか?

“お墓がある”場合を基に、一般的な流れと例外的な場合の流れをそれぞれ説明します。

離壇料イメージ

離檀手続きの流れ

一般的な流れ(寺院墓地から別の墓地へ改葬する場合)

流れとしては、「離壇の申し入れ」→「遺骨の行き先を決定」→「お墓を移す」という手続きになります。

《具体的な流れと順番》
  1. お寺に離檀を申し入れる
  2. 別のお寺の檀家になる
    (※宗派が違うと受け入れられない場合があります。)
  3. 新たなお墓を用意する
  4. 新たなお墓の受け入れ証明をとる
  5. 今のお寺の収蔵証明をとる
  6. 役所に改葬許可申請を提出し、改葬許可証を受け取る
  7. 今のお墓を“墓じまい”し、遺骨を引き取る
  8. 新たなお墓に埋蔵・埋葬する
  9. 元のお墓から墓石を撤去し、更地に戻してお寺に返す

撤去業者は、お寺が指定する場合と自分で探す場合があります。

お寺の指定の場合は、費用が高額であるなどの不都合がなければ慣れているその業者に任せるのがいいでしょう。

自分で探す場合は、複数社に見積もりを取って、適切な業者をさがしましょう。

こちらが一般的な手続きの流れです。

ただし、以下の場合は手続きが異なります。

その他の場合の流れ

◇ 現在が共同墓地などに収蔵している場合

お墓も移したい場合は、上記の① 〜 ⑨とほとんど同じ手続きとなります。

お墓を移さない場合は上記の手続きは必要なく、
■ 現在のお寺に離檀の申し入れ → 離檀料の支払い → 新たなお寺と檀家関係を結ぶ
で完了となります。

ただし、新たに檀家関係となったお寺の宗派が今までと異なる場合は、改めて戒名の付け直しなどを求められる場合もございますので、十分に確認の上、手続きしてください。

◇ 墓じまい後、お墓に収蔵しない場合
  • 散骨、自然葬
  • 手元供養(ダイヤモンド葬、クリスタル葬なども含む)

このような場合は、また手続きが一部異なります。

離檀自体の手続きは変わりませんが、お墓を移すわけではないため、改葬許可証は必要ありません。

代わりに、遺骨の由来を証明するための「埋蔵遺骨引渡証明書」の申請が必要になります。

こちらの手続きは墓地のある各自治体の役所で行うことができます。

◇ 永代供養墓へ改葬する場合

近年増えてきている供養の方法です。

「永代供養墓」について詳しくは、      をご確認ください。

手続きの方法は、上記の① 〜 ⑨と同じになります。

ただし、こちらは宗旨宗派を問われませんので、その部分で問題になることはありません。

◇ 樹木葬・桜葬へ改葬する場合

※樹木葬とは

こちらも近年、注目が高まっている供養の形です。

樹木葬には、永代供養型と通常の個別供養型があります。

どちらも改葬の手続きは、上記の① 〜 ⑨と同じになります。

気をつけるべきは離壇料!?

元のお寺との檀家関係を解消する際に求められるのが“離壇料”です。

ここで問題なのが、離壇料の金額ですが、その他のいわゆる“お布施”や“心づけ”と違って、料金として請求されます。

しかも金額は、お寺側の言い値となることがほとんどです。

もちろん通常は問題になることはありませんが、中には遺骨を質に法外な金額を請求されることがあります。改葬には、お寺の印が必要になるので、こちら側も卑屈になってしまいがちです。

そもそも離壇料は支払わなければならないのか?

法的には支払い義務はないようです。

こういった例えはどうかとは思うんですが、事務的に考えると、

『契約していた貸倉庫を解約して荷物を運び出す際に、運び出し料が必要なのか?』

という風に解釈できますね。

ただ、これは荷物の話なので、やはりお世話になったお寺と揉めたくもないですし、“お世話になりました”という意味での心づけ程度なら、納めた方が両者とも気持ちの良い離壇となるのではないでしょうか。

金額の相場としては、15〜30万円程度が多いようです。

ただ、お金の問題は、どうしてもトラブルとなりやすい部分でもあります。

離壇の際にお寺と揉めないためには

色々な情報を見てみると、「離壇の際にトラブらないためには、普段からの良好な関係構築が必要」と書かれています。

住職の情に訴えて、円満に離壇を行うということですね。

たしかにこれがベターな解決法です。これで解決できそうならこの方法を選びましょう。

ですが、これは“遠くて行けない”などの物理的な理由での離壇の場合です。

お寺との関係が良好でない場合の離壇

物理的な理由ではなく、“住職と合わない”“お布施が高い”“改宗したい”など、気持ちや関係性が理由となる場合は、そもそも良好な関係など築けるわけがありません。

そんな時に法外な離壇料に対して粘り強く交渉なんかできません。ケンカになってしまいそうです。

そんな時に相談するべきは、行政書士さんです。

こういった場合は冷静に対応してくれる第三者が最も交渉役に適しています。

「檀家の筆頭の方、まとめ役の方に相談」ということもよく耳にしますが、得策ではありません。それらの方々は、どちらかといえば、お寺側の人間です。

お寺に味方するというわけではないですが(中にはそんな方もいます)、こちらに完全に有利な条件になることはほぼないと言えます。

図にすると、以下のようになります。

交渉イメージ

まとめ役の方は、お寺とあなたそれぞれのバランスを取ろうとするので、提示額と希望額の中間あたり、またはお寺に有利なところに落ち着かせようとします。

一方、行政書士さんはあなたがクライアントなので、あなたの希望を叶えようと動きます。

これらの理由から、行政書士さんに相談することをオススメします。

まとめ

  • 離壇の手順は「離壇の申し入れ」→「遺骨の行き先を決定」→「お墓を移す」
  • 離壇料の相場は15万円〜30万円
  • もめたら行政書士に相談する

以上を押さえておけば離壇も怖くありません。どうしても怖いという場合は、お問い合わせよりご相談ください。