納棺、お通夜、葬儀、告別式、法要、埋葬と、亡くなった後、様々な場面で菩提寺の存在が重要になります。

ですが、自分の家の菩提寺がどこなのか、中には分からなくなっている人もいるのではないでしょうか。

菩提寺

そもそも菩提寺(ぼだいじ)って何?

菩提寺とは、基本的には、先祖代々からのお墓があるお寺のことです。

共同墓地などにお墓がある場合は、お彼岸などに“塔婆(卒塔婆)”を取りに行くところです。

家族が他界した際には、葬儀社へも連絡しますが、同時に菩提寺にも連絡します。

(菩提寺を伝えると、手配してくれる葬儀社さんもいます。葬儀社さんに聞いてみましょう。)

菩提寺への葬儀の申し込み

行うことは、2つだけです。

⑴ 他界を知らせる

“そちらが菩提寺である当家の人間が他界した”旨を伝えてください。

伝えること

・故人の名前 ・生年月日 ・死亡日時 ・死因
・享年 ・連絡先と氏名

⑵ 葬儀等の内容を決める

日程、場所など、必要なことを決定します。その際に、お布施等についても確認しておくと、後ほどトラブルもなくなります。

決定すべきこと

・各行程の日時 ・葬儀会場、場所 ・葬儀場までの交通手段
・僧侶は何人来るのか ・戒名

菩提寺が遠い。そんなときは?

基本的には、日程が問題なければ、出張していただけますが、高齢であったりという理由で、来られないケースもあります。

また、遠方から出張していただくので、通常のお布施に加えて、交通費や宿泊費を支払う必要があります。

来られないケースでも次の3つの段階でお寺の手配をしてください。

菩提寺から他のお寺を紹介してもらう

来られないケースの場合はまず、近くに紹介してくれる僧侶が存在するかを菩提寺に確認しましょう。

お寺も宗派ごとに連携をとって運営されていますので、別のお寺を紹介してくれることで大抵解決します。

寺格

上図のような組織になっていますので、大きな宗派であれば全国どこでも大丈夫です。

もし、宗派がそれほど大きくなかったり、他のお寺と関係が希薄で紹介してもらえなかった場合は次の方法になります。

葬儀社さんに紹介してもらう

葬儀社さんもだいたい提携のお寺を持っています。なので、菩提寺に相談してダメな時は葬儀社さんに相談してください。

その際に気を付けなければならないのは『宗派』です。

宗派が違うと、葬儀を受けてもらえないことが多いです。

また、宗派を確認せずに依頼してしまったために起こるトラブルもあります。

宗派違いでのトラブル例

『菩提寺に埋葬できない』
戒名をA派でつけてしまったため、B派である菩提寺に埋葬・埋蔵できない。埋葬する場合は、改めて戒名をつけなければならないので、お布施をまた支払わなければならない。

紹介してもらう場合は、しっかりと宗派を伝えておきましょう。

また、葬儀の際は、戒名をつけず、俗名で執り行い、後に菩提寺で戒名をつけてもらう方法もあります。

葬儀を行ってくれるお寺に俗名での葬儀が可能であるか、確認しておきましょう。

しかし最近は、菩提寺との関係性も薄くなっており、菩提寺がわからないといったケースも増えています。

菩提寺がわからなくなった!誰に聞けばいいの?

菩提寺との関係が希薄になっている現代では少なくないケースです。

「引っ越してしまって、お墓参りにしばらく行っていない。」
「お墓参りは行ってたけど、お寺には行ったことがない。」

こういった理由で、特に都市部で、菩提寺が不明な方が増えています。

そういった場合に誰に聞けばよいのか?

① 親族に確認する

まずは親族に確認しましょう。これが一番確実です。

② 実家の付近のお寺に聞いて回る

親族に聞いても分からない。聞ける親族がいない。

その場合は地道に探すしかありません。

多くの場合は、実家に近いお寺を菩提寺としていますので、近いお寺から順に「○○家の菩提寺はこちらでしょうか?」と聞いてみましょう。

ただ中には、菩提寺が数10km離れているケースもありますので、確実に見つかる保証はありません。

また、探す際は親族の“本家”に近いお寺から探してみましょう。

③ 家系図作成サービスなどのプロに調べてもらう

探し方としては、2番に近いものになりますが、プロの方にお任せするものひとつの方法です。

特に実家と住まいの距離が遠い方などは便利だと思います。

彼らが家系図を作成する際に頼りにするのが、お寺にある過去帳なので、菩提寺を探しあてることがベースになっていることが多いです。

なので、彼らは菩提寺探しのプロでもあります。

 

これらの3つの方法でも見つからない時もあります。その時は、離壇をして別のお寺にお世話になることも検討しましょう。

離檀の決断も時には必要

“離檀”とは、菩提寺との檀家関係を解消することです。

菩提寺と離壇を行い、別のお寺を菩提寺として檀家契約します。

下記の場合は離壇も検討しましょう。

  • そのお寺と付き合いが無い場合
  • 住職さんと相性が良くない場合
  • 遠方過ぎて今後のお付き合いが難しい場合
  • お布施が高すぎる
  • 菩提寺が分からない

元の菩提寺にお墓を持っている場合などは、改葬(墓じまい)も同時に必要となります。

行けない、行きたくないお寺を菩提寺にしておくくらいなら、新たな菩提寺を自分で探すのも、現代では一つの選択肢として確立してきています。